2014年7月7日月曜日

指定管理者制度を駆使した企業誘致

指定管理者制度とは公的な施設の運営を民間企業やNGOに代行させるもので、本来企業誘致や営利事業の為の場所を提供するといった事ではありません。
ただ、この制度を駆使するとレストランやコーヒーショップ、書店、レンタル店の「誘致」をする事も可能です。図書館と組み合わせた例もありますので、こちらの問題点について事例を含めて考えてみたいと思います。



1.オーガニックレストラン・アクアとは
大阪府高槻市芥川緑地プールのオーガニックレストラン・アクアは高槻市のプール施設に指定管理者方式で入ったレストランでした。このレストランは当時高槻市幹部だった人物がお気に入りの店を指定管理者制度を使って2006年に誘致したという経緯で出来たと言われています……というかご本人がブログで書かれてます。(参考

事業形態を調べてみたらプールの指定管理者の企業連合の1社にレストラン運営会社が入り、指定管理者の自主事業としてレストランを出店というものでしたが、最初の契約期間中の2009年3月にレストラン運営会社で大きな変化があって、食べログのコメントを見ているとその前後で評価が大きく変っているのが分かります。


2.アクアの変遷(2006-2013)
2006年:高槻市がSFT共同事業体(株式会サンアメニティ、有限会社ファームダイニング、株式会社高浄)と指定管理者契約(5年契約)

2009年3月:ファームダイニングのシェフが退職。ファームダイニング社の経営者も変わるとの記載あり。参考

2011年契約更新時:STK共同事業体(株式会社サンアメニティ、株式会社高浄、株式会社KAITOコーポレーション)が受託。事業体の企業の1社であるファームダイニングがKAITOコーポレーションに変更された。

2012年11月:食べログのコメントでかなり厳しい評価のコメントあり。

2013年:プールシーズンはレストランではなくTEA HOUSE AQUA(軽食・喫茶)として運営された。


3.指定管理者を用いた企業誘致の問題点

  • 本件レストランの運営は指定管理者の自主事業扱いになっている。この為、「誘致」されたにも関わらず事業リスクは全て企業側が負担している。
  • 自治体施設でレストラン等を入店させる場合は、公募で事業者を募り家賃請求するというのが普通。この形態なら店を閉めるにせよ譲渡するにせよその企業と自治体の間での契約関係で収まる話であり、他の企業に迷惑をかける可能性はまずないでしょう。
  • プール施設の飲食店という事で指定管理者の自主事業としても良い形で公募しても良いとは思いますが、そこにどの店が出店しろという誘導はどのような法的根拠、権限で行ったのか、大変不思議な話です。
  • 指定管理者制度自体は自治体の業務代行ですから、企業の収益は(1)自治体からの業務代行費用から捻出する、(2)自治体から許された範囲で自主事業で営利事業を行ってその売上から利益を得るという方法が考えられます。
  • (2)については指定管理者には一切認めずに生じた余剰スペースの事業者を公募して自治体は家賃収入を得るといった対応も考えられます。
  • (2)を指定管理者に認める場合は指定管理費用の圧縮を期待する事になりますが、指定管理者を公募せずに1社と随意契約する場合は(2)は不当な利益になる恐れがありますから、指定管理者には一切認めず、自治体が直接別途事業者を公募して収入を得るべきではないでしょうか。ただそのような1社随意契約による指定管理者になっても企業側にメリットはないので、普通に公募を実施するのがフェアで自治体、企業とも利益を得る最適解だと思います。