フレッシュな本棚を堪能する至福の3時間でした。
1.魅力的な本棚
この図書館の本棚は人の背の高さ程度に抑えられていて、背表紙の見やすさ、手に取りやすさについて配慮されています。
筆者は人文系ノンフィクションを集めている関係で、そういった書籍の棚を特に念入りに見ていたのですが、古い本から新刊までバランスよく配架されていて「こんな本があったのか」という発見の連続。(末尾に気になった本のリストを載せてます)
決して規模が大きい方ではないと思います。でもきちんと狙いを込めて入れ替えされている図書館や書店の本棚は量ではなく質で勝負が出来る訳で、伊万里市民図書館はこの点で極めて良い所でした。
2.読書環境としての図書館
館内はBGMとしてオルゴール音楽のCDが流されていますが、本を探している人、読書している人などを邪魔しないものが選ばれているようで気にはならず。
こちらの本棚は中央に座席を持たせており、ちょっと読んで見たい場合はそちらで読む事も出来ますし、閲覧席に移動して読む事も出来ます。
本棚の一部を使って、特集コーナーを設けてそのテーマの書籍に興味が持ってもらえるようになっている等、本棚の本が実際に手を取ってもらえる事を強く意識されていますし、伊万里市民図書館を訪れた方が絶賛する理由も「居心地が良い」というだけではない事がよく分かります。
3.市民図書館とは
この図書館の運営方針が一目で伝わってくるのはガラスのパーティーションで中が見える図書館長室の存在。更に図書館長と話をしてみませんかといった掲示がされていて、この図書館が市立ではなく市民図書館である事を示す象徴のように思えた。
この日、テレビカメラを抱えた方々が来られていて取材されていたのですが、最後にカウンター近くの壁に掲げられた図書館の自由に関する宣言をクローズアップ撮影されていたのが印象的でした。
番外編:伊万里市民図書館で気になった本
ストーン「ジェフ・ベゾス果てしなき野望」
新刊コーナーにありました。出版に興味がある者としてはいずれ読んでおきたいなと。
井上洋平「自転車五大陸走破」(中公新書)
アダムス「マチュピチュ探検記 天空都市の謎を解く」(青土社)
旅行記好きとして気になった2冊。
中村悌次「生涯海軍士官 戦後日本と海上自衛隊」(中央公論新社)
海軍士官から海上自衛隊幹部自衛官として海将にまでなった著者の回顧録。
ハンセン「ファーストマン ニール・アームストロングの人生(上・下)」(ソフトバンククリエイティブ)
人類で初めて月面に足跡を残したアームストロング船長の伝記。
スチュワート「戦渦のアフガニスタンを犬と歩く」(白水社)
セイエルスタッド「チェチェン廃墟に生きる戦争孤児たち」(白水社)
レムニック「レーニンの墓(上・下)」(白水社)
ファイジズ「囁きと密告 スターリン時代の家族の歴史」(白水社)
白水社のノンフィクションはここ数年要注目なのですが、これらは知りませんでした。
クレマー『「私を忘れないで」とムスリムの友は言った シルクロードをめぐる戦争と友情の10年』(東洋書林)
セイエルスタッド「カブールの本屋」(イースト・プレス)
アンダースン「獅子と呼ばれた男 アフガニスタンからの至急報」(清流出版)
アフガニスタンを巡るノンフィクション。
ブラック「IBMとホロコースト ナチスと手を結んだ大企業」
IBMはコンピュータの前にはパンチカードを用いた統計処理機械の製造・販売で知られてます。そしてそのテクノロジーがナチスのユダヤ人虐殺に役立てられていたという事実についてまとめられたもの。