2014年7月10日木曜日

紀伊國屋書店佐賀店

武雄市図書館の書店機能を評価する際、県内最大の書店との比較対象が必要かと思ったので武雄市図書館、伊万里市民図書館を回った際にこちらにも行って見たのでその際の様子をご紹介します。


1.紀伊國屋書店佐賀店
紀伊國屋書店佐賀店は2006年12月開店、面積800坪(約2,300平方メートル)と佐賀県内1位の規模を誇る書店です。紀伊國屋書店は国内でもトップクラスの老舗書店であり、新宿や大阪梅田の店舗は大規模書店の走りだと言えます。

2.老舗直営書店会社の大型店舗の良さと複合大型書店を指向する蔦屋書店の弱点
実のところ、本稿で特段言う言葉はありません。主要各社文庫棚、単行本棚など大型書店としてあるべき物が揃っていて、紀伊國屋書店はどの店舗も一定の水準をクリアしていて日本有数の直営書店会社だけはあるなといつも感心させられます。

訪問した際に文庫本を買ったのですが、1冊しか在庫がなく少し傷みが見られたもの。レジで気付かれて交換出来るかどうか確認にダッシュされたのですが、無かったとの事で謝罪されたのですが、傷みがあるのは分かってレジに持って行きましたし、と伝えてそのまま購入させてもらいました。こういう丁寧さは紀伊國屋書店など大手の直営書店の高い水準の証左なのだろうと思います。

本棚は上から下まで立ったまま背表紙を見る事が出来、手が届かないような高い本棚も使われていません。ここにコーヒーショップがあったとして「本を見ながら飲める」という台詞は出るとは思えない。(すいません。)
でも、実用的な書店とは整然として本棚が並べられ、規則正しく分類された本棚に入った本の背表紙を見て当たりをつけて手に取って内容を確認するという事が出来る書店を指す言葉だと思います。紀伊國屋書店はどちらもこの当たり前の実用性を誠実に実現されていて、本を探すという事を楽しめます。

代官山をはじめとする大型複合書店を指向する蔦屋書店の弱点はジャンルで本をまとめていて版型を無視している点にあります。何が起きるかと言えば、背表紙の高さがまちまちになり、背表紙を読み取りにくくなります。良い書店は背表紙の高さに意識が届いていてそのような事はないのですが、大型複合書店としては改善されている東松山店でも同様の傾向は残っていて、この点が機能的な書店という本来の目的に対する意識の行き届かなさであり、筆者が不満に思う所です。

3.amazon等のネット書店の影響は?
amazon等ネット書店の影響で書店が減っているという言説がありますが、大型書店での実際に背表紙を見て本を手に取り内容を確認するというアクションがネット書店では充分に出来ません。
amazonだと目次や冒頭を見られる機能が登場していますが、ジャンルが粗く書店の本棚で背表紙を見て行くというような使い方にはまだまだ届いていません。
買いたいタイトルが分かっている場合はネット書店が強いと思いますが、ジャンルで絞り込もうとするとなんでもやたらとヒットする印象を受けるキーワード検索に頼らざるを得ないネット書店では、大型書店にはまだまだ対抗し得ないと思う次第です。