2014年7月6日日曜日

第21回東京国際ブックフェア

東京国際ブックフェアに行くのは今年で3回目か4回目。だいたい一般公開の最終日開場と同時に人文系出版社が多い「書物復権10社の会」ブース(特に白水社、みすず書房)と平凡社、河出書房新社などを回ってノンフィクション系の高価な単行本を購入して帰るというのが定番パターンです。
このジャンル、上・下巻で1冊3000円未満なら安い、3000円〜4999円ならやむなし、5000円以上だとさすがにうなるというような値付けが普通です。(発行部数が少ないのだと思います。出なくならないかと不安が。。。)
普段は紀伊国屋書店やジュンク堂で買ってますが、先送り案件はどうしても出てくるので、年1回こちらでなるべく回収するという感じですね。2割引は大きいですから。

人文系出版社定点観測
今年は定点観測しているブースだけ見て1時間ほどで会場を後にしたのですが、客足は朝から多かった印象。(荷物もって歩き回りやすい時間が昨年ほどはなかった)
聖書や占いといった出版ブースは増えているように見えます。ブースレイアウトは例年大きくは変わらないのですが、今回は平凡社と書物復権10社の会のブース向きが変わっていて、何が影響したのかなと思いつつ眺めてました。
河出書房新社は例年通りの本棚設置ですが、スペースが狭く譲り合い精神で潜り込むと小柄な方は足下の棚もチェックされていてうらやましい。(私は大型なので無理!)

白水社については歴史系ノンフィクションの新刊が減っているような印象受けてますが最新刊「ベルリン危機1961」のような作品を続けて出されるか心配です。中々この手の翻訳は継続的に出される出版社も少なくなっていてかなりの恐怖。
(今回「軍服を着た救済者」を買わなかったのは失敗。これはまた書店で探さねば)

電子書籍端末の普及期の終わり
人文系出版社ブース最寄りの入口から入ると楽天のkoboブースは否応なく目に付くのですが、端末のアピールが強かった昨年までと比べるとオープンセミナー重視になっていて、結果としてあまり人が立ち止まっている気配なし。これだと来年は出展するのだろうかという低調さだったのが印象的。

余談
そういえばオープンセミナーで上橋菜穂子先生が登壇は仰け反りました。日本ファンタジー作家ではビッグネームだと思うのですが、別部屋開催じゃないんだなと。




今回購入した本 今年は15冊ほど購入しました。

平凡社ライブラリー/バード「中国奥地紀行I・II」 明治期に日本や朝鮮、中国を旅して紀行本を出したイザベラ・バードの中国訪問記録。

白水社/ケンプ「ベルリン危機1961 ケネディとフルシチョフの冷戦」上・下巻 白水社の歴史ノンフィクションは私も気になるテーマが多く、チェックは欠かせない出版社の一つ。スターリン後のフルシチョフとケネディはもっと雪解けが出来たかもしれないと思うのですが結局はキューバ危機を招いてフルシチョフ失脚でその道は断たれました。その中で起きていたベルリン危機は知りたい歴史的事件の一つ。読むのが楽しみ。

白水社/マングェル「読書礼賛」 本書と図書館の歴史の本があったのですが、図書館本は世界規模で中世など歴史的な流れを書かれていて、興味の範囲から外れるので購入候補から外して、こちらを手にしたら、時事の出来事や本を絡めたエッセイがまとめられていて面白そうだったので購入。

白水社/シュテュルマー「プーチンと甦るロシア」 甦るソビエト連邦かと思う事がよくあるプーチン大統領の評伝は興味ありと速攻かごに入れました。

白水社/ドブズ「ヤルタからヒロシマへ」 以前から気になっていたのですがいい価格のため先送り案件でした。日本の敗戦前に連合国がどのように動いたのか細部を描いた本のようで書かれている内容については大変気になってます。

白水社/笹沢信「評伝吉村昭」 司馬遼太郎が時代に寄り添った作家だとすれば、吉村昭は時代に対して普遍的なテーマ意識があった作家だと思う。その吉村昭の作家としての作業に対する掘り下げは大変知りたいと思っていたテーマの本で読むのが楽しみです。

みすず書房/アーレント「イェルサレムのアイヒマン」 初版は1969年と同時代性を感じます。映画「ハンナ・アーレント」で描かれたアイヒマン裁判論考そのもの。是非読みたいと思っていたのですが、映画のおかげか久しぶりに増刷されたようで手にする事が出来ました。アーレント本、この他にも出ていてフォローの風が吹いている訳ですが、内容もハードなのでまずこちらから読んで、他に手を広げるかはまた考えてみる予定。

岩波書店/柳澤協二「亡国の安保政策」 第一次安倍政権の内閣官房副長官(安全保障担当)だった著者による集団的自衛権の解釈変更に対する批判の書。集団的自衛権の定義など本問題に関わる情報を知りたかったので購入。

勁草書房/佐滝剛弘「国史大辞典を予約した人々 百年の星霜を経た本をめぐる物語」 本書が出たとき書評等でよく取り上げられていた一冊。何故か書店で見かける機会が少なくようやく手にする事が出来ました。

勁草書房/加藤陽子「戦争の論理 日露戦争から太平洋戦争まで」 加藤さんは「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」を書かれた事で知られていますが、同作の4年前にこのようなタイトルの本を出されていたとは初めて知った。徴兵制にまつわる話を2章も書かれていて「徴兵制復活反対」と言われる割には、その実態が漠然としていて、まず戦前どのような体制だったか振り返って数字で考えてみるべきではと思っていた私にはぴったりの本に思えます。

紀伊国屋書店/フロムキン「平和を壊滅させた和平 中東問題の始まり[1914-1922]」
上・下巻の大作。第一次世界大戦でのオスマン帝国の崩壊からパレスチナ問題の火種が持ち込まれた訳ですが、我が国の第一次世界大戦での戦没者は極めて少なく中々この大戦の全貌が分かる本はありません。またパレスチナ問題もこの観点では同様。その知識の穴を埋めてくれる本ではないかと期待してます。

河出書房新社/コリンガム「戦争と飢餓」 戦争によって引き起こされた飢餓と餓死者に視点を当てた本。我が国の戦死者の6割は餓死だと言われている事を念頭において読む必要がある一冊。

こうやってみると河出書房新社、平凡社以外は全て書物復権の会の参加出版社の本ですね。ボチボチ読んで行きます。