2016年6月24日金曜日

減少する読書費用 総務省統計局の家計調査と読書世論調査

毎日新聞の読書世論調査で不定期ながら1ヶ月あたりの書籍購入費について調査が行われている。1999年版〜2016年版をチェックして抜き出してみた。



 この表から1990年代後半に本を買わない層が大幅に減っており、2013年以降では更に減少が進んだ事が分かるが、実際には書籍市場売上高は90年代後半がピークで以後減少の一途を辿っていて、この調査結果では説明が付かない。

 家計調査で書籍購入費について調べていないのか確認したところ、新聞・雑誌を含む「読書」数量・金額が月次調査されていた。こちらの数字についてe-STATよりデータを取得してグラフ化してみた。(二人以上世帯の読書費用(雑誌・新聞含む)。2000年4月〜2016年3月で年度集計)



 消費支出の1割程度が教養娯楽費となっており、更にその1割程度が読書費用に割り当てられている。支出自体が徐々に低下しておりそれに伴って読書費用の低下も起きている事が分かる。

 読書世論調査の2015年度版、2016年度版で本や雑誌の主な入手先を聞く質問が含まれているが、図書館から借りる読者は9%となっている。この数字で図書館利用者が全て借りる人だとしても出版市場の縮小に影響を与えるとは考えにくい。

 なお図書館について影響を与えていると言われる新古書店が2〜4%と低く出ている。ブックオフの膨大な取扱冊数から考えると二番目、三番目の入手先で新古書店のシェアが高い可能性がある。読者の書店・新古書店・古本屋と図書館の使い分けについては詳しい調査が望まれる。