2016年5月16日月曜日

多賀城市立図書館 第2回見学記(2016/5/2) 棚番ルール/貸出禁ラベル本OPACの謎など

2016年5月2日(月)に東北方面を回った際に再度多賀城市立図書館へ立ち寄って(第2回目)、いくつか分かったことがあるのでこちらでまとめていきます。

参考:
 多賀城市立図書館第1回目訪問記
 「宮城の文学」「歴史」「史都多賀城」書架カテゴリーと書誌カテゴリーの対応分析

目次
 1.棚番について
 2.貸出禁ラベル本OPACの謎
 3.面白い複写サービス対応

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 4.混んでいた学習席、ほぼ空席の閲覧席と図書館利用カード作成コーナー
 5.図書館新着資料棚の所在
 6.図書館新聞・雑誌コーナー
 7.図書館/書店の高層壁面書架の課題点
 8.図書館の日記・書簡ジャンルの本
 9.書店の歴史棚
 10.カウントセンサーの設置状況の推定
 11.不思議な再開発
 12.コンビニ戦争


1.棚番について
 6桁の番号が棚ごとに振られている。但し飾棚(落下防止柵がある高層棚)は別の棚扱いされているため、落下防止柵がある書架は2つの番号が割り振られる事で区別が付くようになっている。

 コード体系は以下の通りと推定。
 7ABC**
  A=1〜3:多賀城市立図書館フロア階数。(4以降で分館?)
  B=1〜:フロア内のおおよその配置場所。1=壁面が多い。
  C=0〜8:通常書架、9=落下防止柵付棚(いわゆる「飾棚」)


2.貸出禁ラベル本OPACの謎
 多賀城市立図書館にも毎年発行されている「日本の図書館 統計と名簿」の各年度版が所蔵されています。古い年度版で調べたい事があったので端末で所在=飾棚である事を確認。で、端末上だと古い年度版は貸出可能表示されていて驚愕。
 「えっ!」と思いつつ図書館員の人を捕まえて取り出し依頼。5分ほどで依頼分を渡してもらえたのですが「貸し出しは禁止分ですので」と言われて、さらに「えっ!」と思ったのですが、背ラベルには確かに赤い「貸出禁」ラベルが貼られていて納得。「日本の図書館 統計と名簿」の2004年度版以前についてはOPACに貸出禁情報がきちんと反映されていないようです。
 もしOPACで貸出禁になっていない貸出禁背ラベル添付本を利用者がセルフ貸出機で手続きしたら貸出受けられるんじゃないかと思ったのですが、どうなんでしょうね。訂正する気があるのか、ないのかちょっと気になったところです。

 なお「日本の図書館 統計と名簿」は3F奥の学習席集中エリアの壁面書架に配架されていて、古い分が上層の飾り棚に入っています。改めて落下防止柵を見たのですが武雄市のようなネジ止めではなくもう少し簡単に本を取り出し出来るように改善はされているようです。


3.面白い複写サービス対応
 ごく普通に申込書を書いてコイン式のカラーコピー機で利用者自らコピーを取るという運用は変わらず。また雑誌については最新号は複写禁止のルールになっています。この点も普通。
 2Fカウンターで複写機利用の申請をしたのですが、驚愕したのはコピー機に紙が一切入っていなかった事。申請書を書いていざコピーを取ろうとしたら館員の方が紙の大きさを聞いてきて申請書に書かれた枚数だけトレイに入れてくれます。こんな対応しているところは初めて見た。なおA3頼んだらB4入れてくるお茶目な人でしたが、本の見開きがB4だったので結果的に問題なし。
 図書館の複写サービスは細かい所で各館違ってますがこのような運用するならもっとやりようはあると思いますが。複写サービス利用依頼が少ないから出来る事だろうとは思った次第です。


4.混んでいた学習席、ほぼ空席の閲覧席と図書館利用カード作成コーナー
 訪問したのは5月2日(月)19時〜21時頃でしたが1F、2Fの閲覧席はほとんど空席。
3Fに学習席エリアがある訳ですが、こちらはほぼ満員。図書館として遅くまで開館する意義があるのか正直疑問な光景だったと思う。(夜遅くまでの学習席ニーズ対応するなら、そういう区画を作ってそこだけ利用に供すれば良い。その方が予算効率は良いし図書館の書架整理など本来業務に時間を割きやすくなるはず)
 図書館利用カード(またはTカード)の作成コーナーも夜だったためか待ち時間ゼロ。いる間に何回か案内放送まで入っていた。図書館内に放送する必要性があったようには思えなかった。


5.図書館新着資料棚の所在
 1回目の訪問でよくわからなかった図書館の新着資料棚の所在ですが、1Fカウンター脇の書架と中央ソファーをとりまく低層書架が割り当てられていた事を確認。この棚だけはかなり空きが出来ていましたが、開館から1ヶ月強というところで、こちらに入れている新着資料が少なく、また貸出が多いからだろうとは思いますが、開館後の資料費をきちんと手当てされているかどうかは今後確認していく必要はあると思う。


6.図書館新聞・雑誌コーナー
 2Fにありました。19時から21時の間に見て回っていた訳ですが、新聞閲覧コーナーは誰もおられず、雑誌コーナーでお一人見られていた程度。他の図書館だと一人、二人はおられる所なので少し驚いた。雑誌は正面に最新号を面陳(その後ろ側の棚にバックナンバーを格納)するタイプの書架が設置されていた。(3段*12列=36タイトル格納可能)


7.図書館/書店の高層壁面書架の課題点
 長大な壁面高層書架が導入されている訳ですが、図書館側はどの書架にどのジャンルが入っているかは仕切り板が読み取れる位置に立たないと確認出来ないので見通しが悪い。
今回、当初から館内図の配布が行われていて配慮はされている訳ですが、そういったものを見ずに特定のジャンルを探し出す事が行いにくい。慣れないと使えない書架になってしまっている。
 図書館境界となっている書店1F高層壁面書架に関しては改善が為された。大ジャンルについて大型のネジ止め標識が新たに導入されており、離れていてもその付近の書架ジャンルが確認出来るように改められた。(少なくとも武雄市では見た覚えがない)
ただ、ファミマ!側の飾り棚がない壁面書架に関しては設置されておらず、書店インテリアデザインの詰めが出来ていないように見えた。


8.図書館の日記・書簡ジャンルの本
 旅行記、紀行文ばかりでジャンルの分け方がおかしい。日記だと例えば戦中日記はそれなりに出ているはずですが皆無だった。


9.書店の歴史棚
 書店の人文棚4列のうち歴史は日本史、世界史で2列のみ。この棚の仕切り板は「近現代」「戦後」の2つしか入ってなかった。このジャンルに書店として少しでも力を入れる判断があれば4列割当になるところだと思う。


10.カウントセンサーの設置状況の推定
 図書館・テナント棟の出入りについてはおそらくBDSでカウントを取っていると思われます。(天井をよく見ましたが自動ドアのセンサー以外見当たらなかった。)
なおファミマ!では外側出入り口ではなく館内側出入り口にBDSが設けられています。
 図書館と書店側の連絡通路は特にセンサー類は設置されていないようですが、ここでカウントセンサーが設けられていれば、書店・スタバと図書館の在館者数統計を取れたと思うのですが、棟全体の来館者数を取材させているような状況だと取り組みは期待できないでしょう。これでどう図書館利用実態を把握するのか疑問を感じる。


11.不思議な再開発
 駅ビルの配置はJR多賀城駅高架を挟んで自走式立体駐車場棟、図書館・テナント棟、多賀城市の施設棟に分かれている。現時点ではこれらの棟との導線は雨よけがなく、駐車場棟から高架下の駅通路を通って図書館・テナント棟などへ行き来する必要がある。
 ただ図書館・テナント棟だけショートカットするルートが存在するのですが、基本禁止のようで掲示はされてません。ただ地元の人の多くはそちらを使っているので規制は実質機能していないようです。ただこのルートでも雨を完全に避ける事は無理。
 再開発完了したら通路に屋根が設置されるのでしょうか。ちょっと気になります。


12.コンビニ戦争
 ファミマ!を一歩出ると通り向こう側には駐車場完備のセブン・イレブンが出来ていました。JRや図書館利用者の取り込みはファミマ!が有利でしょうけど、車利用客は全く期待できない図式となっている。なおファミマ!の品揃えは単価の安いものは扱わないようで、こちらでは間に合わず車道渡ってセブン・イレブンに行く人も出てくるのではないか。