2015年12月28日、長崎へ向かう際に武雄市にも立ち寄って駐車場の他都道府県ナンバー比率みたりしていたのですが、歴史資料館の図書館企画展示「謎解き図書館~Xからの挑戦状~」が大変興味深かったので少し紹介してみたい。
この「謎解き図書館〜Xからの挑戦〜」企画展示は12月19日〜1月31日開催されているが、10日より後編として展示内容を改めたとしているので現在も下記で触れているような展示内容が残されているか不明なのでその点はご容赦下さい。
武雄市図書館はCCCが初めて図書館指定管理者となったツタヤ図書館第1号として知られています。当初報道は絶賛一色に近い状態でしたが、指定管理者導入時リニューアルでの資料入れ替え予算流用に伴う古本購入と海老名市立図書館開館直後に露見した資料分類・配架異常と古本または新古本購入問題によって問題点がようやく報道されるようになりました。
あまり取り上げられていませんが、週刊東洋経済でCCC特集で増田社長インタビューが掲載されましたがその中で指定管理者制度では自治体側に決定権がある事に触れた上で、独自のライフスタイル分類ができないならやらない、図書館雑誌が少ないとの問題指摘について見直しさせるという不可解な発言※を為されています。
※指定管理者制度のあり方から言えば自治体側の判断事項であって、CCCの経営判断事項として社長指示だけでは変更はできない。
2015年の年末から2016年の年始にかけて行われている武雄市図書館の企画展示ではNDCと武雄市図書館独自のジャンルによる排架について解説が為されていたのですが、NDCについて社の方針に沿った批判は行わず※、きちんと意義を説明した上で独自のジャンル排架について説明を行っているのはこの図書館の方針がCCCにがんじがらめになっていたところから少し解けてきているように感じられた。
※NDCについてはCCC増田社長の自著「知的資本論」やインタビュー本「TSUTAYAの謎」などで繰り返し古い規格であり書店で培ったライフスタイルに基づいた分類が良いか主張を繰り返し披露されている。
武雄市図書館は他の図書館のように新着資料が単に書架に収められているだけで読書提案が少ない。他の図書館では新着図書のアピールは大変注力されており、貸出中である事が分かるように背表紙コピーを貼り出したり紹介文を掲示されたりと工夫されている。武雄市図書館の場合はそもそもそういう事ができるレイアウトとなっていない(口型書架の一角を新着資料棚にしている)訳ですが、この方面は改善されないと図書館としての存在感を強めにくいのではないかと感じた。
※新着資料棚に新着本リストのバインダーが置かれていた。1ページ27冊。週次受け入れで一度に110〜130冊程度入っているようですが3ヶ月分だと1320〜1560冊程度(平均単価1500円/冊、1560冊/3ヶ月だと資料費は936万円/年)となる。もし現在の新着書架枠(2列6棚+2棚)に全部入れると収まりきらないのではないか。
(一部新着書架に入らずに直接該当ジャンル棚に入れられているものもあると思われる)
ライフスタイル分類による排架という改善困難な問題はCCCが指定管理者である限り改善は期待できないと思いますが、少しでも図書館としての機能改善が進む事を願うばかりです。これは利用者の意見をどの程度図書館が耳を傾けるか、またその中で図書館スタッフがどう運営企業の方針と折り合いをつけていくかにかかっているだろうと思います。