2016年8月23日火曜日

[出版流通] 新刊予約の謎

 「書店で新刊予約をして欲しい。それは応援になる」という話を著者の方がされるのを見かける事がある。一方で読者サイドからは書店員が嫌がるといった話も見かける。
 私自身、書店で新刊予約をお願いする事はよくあります。だいたいは電話でお願いしていますが、その書店の端末に書誌データ登録がなくても出版社や取次に確認して受けてくれてます。
 新刊予約の扱いがどうなっているか気になったので、出版流通について触れている本で調べた事や実際に注文した際の書店側の反応など交えてまとめてみた。



原則:
・予約締め切りまで出版社か取次で受け付けておき、取次から書店に出荷する際は予約分は客注分として満数出荷する。

現実:
・人文書などの専門的な単行本は原則通り動いているように見える。初版の部数が限られていて取り扱う書店も決まっているような本だと予約は歓迎されているし、分かっている書店員であれば原則論に沿って対応している。
・コミックやライトノベルだと出版社、取次とも予約を受けない事があるようで検索すると出てくる。こうなると委託配本で書店に入った分から対応できるかという問題になるが、それを「予約」と呼んで良いのか個人的には疑問。
→書店側の責任で対処困難。予約数が入荷数を上回るとトラブルの元になる。

 私自身、予約を入れているのは発行部数が多くない専門書が主体。これは行きつけの書店に配本が来ない事があったので自衛策の意味合いがある。
そういった本でも発売日以降はその書店のWebストア在庫があるので、多少の遅れ容認であれば、そちらで注文を入れて最寄りの支店での店頭受け取りにしている。
 文庫は予約せず配本された分から買えばいいと言いたいところですが、翻訳小説だとナショナルチェーンの書店の支店でも1冊しか入らないという目が点になる現象もあるので発売1ヶ月以上前に情報が入れば予約すると思う。

 総じて出版社、取次の対応、ジャンルの傾向あたりの組み合わせで新刊予約で客注が成立するか決まっている気はします。予約お断りの場合は指定配本もやっていそうですが、それが本当に読者の存在と結びついているのか。まだまだ精度足りてないのではないかという気がします。(初版部数が削減されている事と取次の返本率抑制政策も絡んでいるとは思いますが)


参考:
 ブックオカ編「本屋がなくなったら、困るじゃないか」(西日本新聞社)