2015年3月17日火曜日

bookcafe kujuとパンむぎとし(和歌山県新宮市熊野川町)

 DOT Placeに和歌山県新宮市熊野川町の閉校された小学校の木造校舎を用いて書店・カフェについて記事が出ていた。三重県側から龍神温泉へ行く際のルートの国道近くのようだったので、週末に龍神温泉に行くついでに立ち寄ってみた。

パンむぎとしの看板。国道169号線・311号線の向こうは北山川




 今回は三重県熊野市から国道311号線に入り途中ダンプカーとの離合などスリリングな工事区間を通過して疲労困憊の中、無事bookcafe kujuに到着。
川沿いを流れる国道169・311号線に面していてbookcafe kujuと「パンむぎとし」の看板が出ていてまず見落とす事はないはず。(お店へのアクセスについては後述)

 元は運動場だったと思しき駐車場(舗装済)に車を止めて旧校舎に入ると手前側にレジ&カフェエリア出入口、奥側に書店出入り口が設けられていた。
旧九重小学校の木造校舎

書店の本棚の楽しみ
書店の本棚見るのが好きな筆者としては迷う事なく、まずは書店の棚を見ようと足を踏み入れる。古い学校用の木製棚など組み合わせて本の表紙を見せる事を重視して並べられていた。
 最近ブックカフェで古本を扱われるケースが増えているが、bookcafe kujuの場合は新刊を置かれている点が大きく異なる。(この点はDOT Placeさんの記事に詳しく書かれています)
 最新刊が多い今時の書店とは異なるラインアップが並ぶ。書店の興亡記、古書店愛好家のエッセイ、歴史入門書、小説家の日記からシャーロック・ホームズのSF(だったか)など様々。この中で出版関係の書籍をまとめて置かれたエリアが一番惹かれた。在庫冊数が多い訳ではない。見た事がない本が並べられていて、どういった本を見せたいのか伝わってくる。見ていて楽しい。

 迷いに迷って結局、以下の3冊を購入。

 森岡督行「荒野の古本屋」(晶文社)
 リン・ティルマン「ブックストア ニューヨークで最も愛された書店」(晶文社)
 いしいしんじ「京都ごはん日記」(河出書房新社)

「荒野の古本屋」は古本屋という業種について興味があった為、「ブックストア」はアメリカの書店事情を知る材料として、「京都ごはん日記」は作家の日記は面白いものが多いという事と食べ物が多く載っているから、というのが理由。

本を買ってコーヒーを楽しむということ
 カフェと書店エリアは仕切られていて、未購入の本をカフェには持ち込めない。最近、購入していなくても持ち込み可能な複合書店が見られるようになってきているが、私には購入しないとカフェに持ち込めない方が当然に思えていたので好感を持った。

bookcafe kujuの窓から。左から「荒野の古本屋」「ブックストア」を並べて

「京都ごはん日記」とコーヒー(飲みかけ失礼)

パンむぎとし
 bookcafe kujuが木造校舎に入っている訳ですが、奥側に別の小さな建物が並んで建っていてこちらに「パンむぎとし」があります。表に大量の薪が積まれていますが、「パンむぎとし」は石窯で薪を使って焼かれているとの事。パンの材料も作られていて大変手数をかけて作られている。
 フランスパンにレーズンなど入ったもの、レンコンとサンマのフォカッチャ、ブロッコリーのフォカッチャ、リンゴのシナモンロールとどれも絶品。強いて選ぶとしたらレーズン入りのパンでしょうか。皮がパリっとハードに仕上がっていて素晴らしい。

異なるパン皿があるのは土曜日、日曜日の2回訪問したため。
パンに関しては12時開店直後だといろいろ選べるかなと。



bookcafe kuju と パンむぎとし のお勧めな回り方
(1)書店で本をチョイスしてカフェコーナーで精算してコーヒーなどドリンク類も合わせて注文&支払いを済ませます。
(2)廊下向こう側にある「パンむぎとし」でパンを選んで支払いを済ませます。
フランスパンのようなものだと、カフェで食べる旨伝えると切って持って来て頂けます。
(切る作業がない場合はレジでパンを木のお皿に載せかえて頂けます)
(3)カフェに戻ってドリンクとパンがくるのを待ちます。パンが届いたらトースターで暖めると更に美味に頂けます。
……こんな順番で回れば、パンとコーヒーを頂きながら買った本を眺める事を円滑に実現出来ます。

※営業日はbookcafe kujuは土・日・祝日、パンむぎとしは土・日で臨時営業日や休業日もあるようなので事前にネットで確認しておかれる事を推奨。
bookcafe kujuパンむぎとし



アクセス:名古屋方面から車で向かう場合
 住所を見ると分かるように元々は熊野川町の小学校。このあたりの平成の大合併は旧町・村名を住所の一部に残しているので、合併前の住所がすぐ分かる。

 車で名古屋方面から来る場合は紀勢道で尾鷲まで出て、国道42号線を進んで更に熊野尾鷲道路に入ると三重県熊野市まで一気に出られる。国道42号線は峠越えを繰り返す山岳路区間が多い。これら難所は紀勢道の延伸と熊野尾鷲道路の長いトンネルのおかげでショートカット出来るようになった。
熊野市から再び国道42号線に入ると長大な砂浜沿いの道を進む事になる。

 ここから目的地へのルートは2つ。
 一つは国道311号線で西へ向かうルート。新宮市を通らず一気に到着出来るのですが、問題点は2015年3月時点で件の国道で大規模な拡幅・隧道新設工事が進行中でダンプカーが1.0〜1.5車線しか幅がない山岳路を突っ込んでくる点。私はダンプカーに鉢合わせして離合で一騒動。車の運転が苦手な方はこのルートは今のところお勧めしません。
 もう一つは国道42号線を海沿いに進んで新宮市街地で国道168号線を北上して国道169・311号線への橋を渡って向かうもの。こちらは市街地が日中から夕方まで渋滞が起きやすい点が難点ではありますが、運転で気を使う区間はありません。

アクセス:上記以外の車ルート(大阪・奈良方面)
・奈良県吉野から国道169号線を南下:酷道なのでお勧めしません。
・奈良県五條から国道168号線を南下:国道169号線より整備はされてますが、川沿いをかなり延々と走る事になります。疲労度は多いですが秋だとこのルートも格別かなと。
阪和自動車道で白浜に出て国道311号線を東進:名古屋からのルートの逆バージョン。国道311号線の白浜〜中辺路〜本宮区間は整備が行き届いているので大阪方面からはこれが一番。
阪和自動車道ルートのバリエーション:阪和自動車道有田南ICから国道424号線、国道425号線で龍神温泉方面に向かい県道198号線で中辺路へ出て国道311号線を東進。この場合、先に龍神温泉に立ち寄ってから向かうという事も可能。(龍神温泉〜県道交差点までの往復で40kmほど走行距離は伸びる)

木造校舎と「パンむぎとし」の建物の軒下
コンクリートが固まる前に書かれた落書きがかわいらしい。