2014年10月27日月曜日

武蔵野市立『ひと・まち・情報創造館武蔵野プレイス』

東京に行く用事があったので、2014年10月26日(日)昼前に立ち寄って来ました。

図書館の未来について語られるとき、よく出てくる名前だったので気になっていました。
武蔵野市は中央図書館など「図書館」を冠した施設を別に持っています。武蔵野市立図書館サイトのアクセス地図を見ると東部=吉祥寺(吉祥寺図書館)、中央=三鷹(中央図書館)、西部=武蔵境(武蔵野プレイス)というふうに配置されている事は分かります。

設置目的については公式サイトでは下記のように記載されています。
武蔵野市立『ひと・まち・情報 創造館武蔵野プレイス』(以下「武蔵野プレイス」)は、「武蔵境のまちづくりの推進」の一環として、西部図書館を移転拡充し、図書館機能をはじめとして「生涯学習支援」「市民活動支援」「青少年活動支援」等の機能を併せ持った複合機能施設という方向づけのもとに設置しました。
JR中央線武蔵境駅を降りると珍しいデザインの建物がすぐ目に入るので迷う事なく到着。
ともかく人が多い。武蔵野プレイス前の公園スペースは親子連れが多いですし、館内に入るとまず目につくのは返却カウンターとその裏側には喫茶コーナー。あと雑誌マガジンラックが並んだ閲覧コーナーとなっている。
喫茶コーナーはほぼ満席。勉強している人も見られるんですが、このあたりの雰囲気は代官山蔦屋書店に似ている。

建物は地上4F、地下3F。フロアごとに名称がつけられています。
 4F:ワークテラス(ワーキングスペース(有料個人席)、会議室)
 3F:ワークラウンジ(学習室、会議室、市民活動団体向けスペース・情報コーナー等)
 2F:コミュニケーションライブラリー(子ども向けライブラリ、テーマ別ライブラリ)
 1F:パークラウンジ(図書返却カウンタ、雑誌閲覧コーナー、カフェ)
 B1F:メインライブラリー(図書館)
 B2F:ティーンズスタジオ(アート&ティーンズライブラリ、各種スタジオ)
 B3F:駐車場

詳しい事は公式サイト見て頂いた方が早いと思いますが、カタカナ英語の名称が多く、実態が何か分からなかった事は指摘したい所です。初めて利用する人で戸惑う方もいらっしゃるのではないかとは感じた。

1Fパークラウンジ
カフェの営業スペースが明確に分けられていて、パブリックスペースが浸食される事はない点は武雄市図書館と比べて明らかに優れている所でしょう。当初から設計されていたのだと思いますが、無理がなく人の流れもスムーズ。
また利用者が多い雑誌や新聞の閲覧コーナーをこちらに置いたのも理にかなっていると思います。

2F:コミュニケーションライブラリー
手前側に子ども向けのライブラリーが配置されていて、奥のコミュニケーションライブラリーに気付かず。建物の設計上、壁は設けないが仕切るような設計をされている訳ですが階段やエレベーターホール前でどのようなフロアか分かればいいのですが、カタカナ英語が多くその定義は公式Webなど見ないと分からなかった。正直、テーマライブラリーはこの文章を書く際の確認で公式サイト見て初めて気付いた。初見分からない所が多い施設であるのは確かだと思う。

3F:ワークラウンジ
4F:ワークテラス
武蔵野市で活動している市民活動団体の為のスペースとしては会議室や作業場所の他に簡易印刷機も用意されているのが面白い。
4Fにガラスで仕切られた個人席スペースがあったのですが、これはワーキングスペースと呼ばれる有料個人席。公共施設の貸会議室だとよく午前、午後、夜の時間帯区分で課金されていますが(各400円)、こちらのスペースもそのような形で運用されています。また登録会員だと年間24,000円で年間利用可能(月8コマまで)との事。公共施設としては珍しいし人によっては批判されそうな取り組みですが、4Fの一部スペース充当という所でバランスをとられているような印象は受けます。

B2F:ティーンズスタジオ
ここも単なる見学だと鬼門。階段降りると入り口に説明掲示がおかれていて、10代の子ども向けスペースである事、場合によっては確認する事があるとの説明。私が降りたのは「アートライブラリー」があると書かれていたからなんですが、この説明を斜め読みした段階ではティーンズライブラリーと音楽やダンス等のスタジオしかないものと判断してエレベーターで戻りました。で、公式サイト見てみたらティーンズ・ライブラリーの一角にアートライブラリーがあるとの事で脱力。

B1F:メインライブラリー
いわゆる図書館のみのフロアです。口型書棚配置はありますがスペースが広く取られており一応背表紙を見て本を探すというアクションに対して配慮されています。屈んで本を見ていても後で人が通れないとかいった事はありません。(この事故は「ロ」の内側にも本棚置くと置きます。武雄市図書館が良い例で大変利便性悪い)

このフロア、机席が多い(椅子のみもありますが)のですが、学習利用者が多かった。
本棚見て回りながら、何か違うなと違和感を感じたのですが、原因は本棚で本を探している人はあまりいないという事でしょうか。
中央図書館もある市なので、資料探しの人はそちらに行くか相互貸与で持って来てもらうかするのかも知れませんが、文学棚だと評判だけど多分マイナーな翻訳小説も入ってましたし、歴史棚も最近の新刊ハードカバー本も押さえていて充実。けど、私が行った日曜日昼前に本を探している人があまりおられず、この施設に対する利用者の期待は図書館機能ではないのでは?という気はしました。

複合施設の難しさ
4Fテラスデッキがあったので出たら、中学生がベンチに寝そべって勉強なのかゲームなのか勤しんでいて座る場所がなかったといった風景見ていると、遊んだり勉強したり仕事したりするスペースを求める人の方が多いように見えたのですよね。そしてこの観点だと席の空きが乏しくニーズに対して対応しきれている訳ではないように思えます。

カタカナ英語の名称の多用の結果、どのようなフロアなのか見失っている所があるのは失敗面の一つでしょう。1Fの「パークフロア」、4Fのワーキングスペース(有料個人席)、B2Fのアート&ティーンズライブラリーあたりは意味が分かりにくい。

フロア内を壁というより大開口部でつなぐ事で廊下を作る事を排した設計されていますが、ティーンズスタジオとコミュニケーションライブラリーでは子どもが主な利用者のエリアが大きく取られていてその先に大人も利用するコーナーが設けられているのは、ちょっと入りにくい雰囲気を生み出していて個人的には疑問は感じます。このあたりは設計理念に対して現実がマッチしなかった部分だとは思いますが。

総じて諸手を上げて評価出来る図書館かと言われたら、分からないという答えしか出ない。名称も図書館ではないし、武雄市図書館と同様に図書館とその他の機能が融合しているようには見えなかった。図書館を含んだ複合施設を指向する場合、明確に分けて運営するか、完全に融合させるかという選択が必要だと思いますが、武蔵野プレイスに関してはこれが徹底出来てないという印象です。