2014年8月11日月曜日

留萌ブックセンター by 三省堂書店

留萌ブックセンターに行ってみた。

留萌市は人口23,071人(2014年7月末時点留萌市発表)。
最後に残っていた新刊書店が廃業。半年間新刊書店ゼロ期間(この間はマックスバリュー店内に参考書や辞典を販売するコーナーが設けられて対処)を経て、2011年7月24日(日)に留萌ブックセンターが開店という経過をたどっている。


1.留萌ブックセンターの出来た経緯/概要
イオンから出されたリリースには市民、留萌振興局(連携協定締結)、留萌市の協力で三省堂書店を誘致したものと記されている。
誘致の為の市民の協力については聖教新聞記事が詳しいが、以下の2点を実施して誘致出来たという。
(1)ポイントカード会員申し込み希望者リスト2,500人分の獲得、
(2)開店前の準備作業、イベント運営のボランティア支援
また店舗面積150坪、在庫10万冊である事も記されている。

2.地域総合書店として
店内は3/4が書籍・雑誌販売で1/4程度が映像/音楽関係の販売に充てられている。普通に見ると普通の書店にしか見えないが、よく見て行くと三省堂書店だなと思わされる点も多い。
例えば文芸書、人文書の単行本コーナーが設けられていてそれなりの分量が置かれている。新書コーナーだと岩波新書も置かれていて、この書店が地域の書店としてどういった本を置くか方針がよく分かる。これらは売れ筋=雑誌・コミックス偏重だと一番切り捨てられやすい部分なので流石と思った点。
参考書など学習関係コーナーにも力を入れられているように見受けられた。これは新刊書店ゼロの空白期間中、マックスバリューで臨時販売所を設けた経緯を見ると納得。

3.訪問してみて
この書店は以前から気になっていた。というのは新刊書店ゼロ自治体が増える中で出来る事は何かという回答の一つが示されていると思った為だった。
実際に立ち寄ってみて思ったのは当たり前だが、書店としてはごく普通だけど地域唯一の新刊書店としてどのような本を置くべきかという原則を持った書店だったという事に尽きる。

地方での読書環境維持、書店をどのように維持するかについては留萌市の人たちと三省堂書店の取り組みは大変有効だと思うし、この取り組み例はもっと注目されてしかるべきだと思う。
書店の商圏については人口が占めるウェイトが大きい。留萌市で一度書店がなくなったのは人口2万3千人では成り立たない為だという事を示している。
地域が書店を必要とすると声をあげた時、それを成り立たせる為に何が出来るのかが問われている訳で、この事例はそこに対してきちんと利害関係を見極めて働きかけた結果として、新規出店を誘致し3周年を迎える事が出来ている。これは人口過疎地帯での読書環境保持について重要な示唆を含んでいる。
自治体の議員の方は図書館にばかり目がいくようですが、こういった事例も調べて頂ければと思った次第。

留萌ブックセンター

マックスバリュー、靴屋の並びで手前が留萌ブックセンター

手前右側はガソリンスタンド

国道に面している。進行方向=深川方面。手前側は海岸へ